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2025/05/31
伊丹市「ひとまの家」地鎮祭
こんにちは。渡邊です。
ここのところ雨の日が増えて
湿度が増してきましたね。
そんななか、雨の合間の晴天に恵まれ、
新たな家づくりの始まりとなる、地鎮祭を執り行いました。
地鎮祭について
地鎮祭とは、建築工事の始まりに、
土地の神様(氏神様)をお招きしてその土地を清め、
工事の安全と、そこに暮らすご家族の繁栄を祈願する儀式です。
古来、日本では山や森、田畑、家など
あらゆる場所に“神さま”が宿ると考えられてきました。
その考え方は、縄文の頃から続く自然観の延長にあり、
「人間も自然の一部である」という感覚の中で育まれてきました。
ここのところは、日時や費用の観点から
地鎮祭を行わないことも増えたと聞きます。
私たちシーエッチ建築工房では今でも
その自然と人とのつながりを大切にする考えのひとつとして
神主さんによって祝詞(のりと)を奏上し、四方を祓い清め、
土地の神様にご挨拶のため、地鎮祭を行っています。
地鎮祭のはじまり
地鎮祭のはじまりはご存知でしょうか。
文献上の記録では、平安時代にはすでに
地鎮祭に近い儀式が行われていたとされています。
当時は神殿や寺院、
城を築く際などに限られていたそうですが
江戸時代以降、町人文化が栄えた頃から、
一般の家づくりにも広まり、明治以降に
全国的に定着したのだそうです。
地鎮祭で使われる道具や供物、
米や塩、水、酒、野菜、果物、乾物などは
自然からの恵みを表すもの。
それを神前に捧げることで、
「いただく命と共に生きていく」ことへの感謝が込められています。
式のなかで感じたこと
地鎮祭の間、厳かで静かな時間が流れていました。
神主さんの祝詞の声を聴きながら
「この土地が、これからもずっと健やかでありますように。
御施主様が、穏やかな日々を送れますように。」
お施主さまと共に頭を垂れながら、心からそう願いました。
「工事の無事を祈る」という
表面的な意味だけではなく、
地鎮祭はその土地と関係を結ぶ“最初のごあいさつ”。
地面に立ち、目を閉じ、風の音を聴く。
それだけで、少しその土地との距離が
近づくような気がします。
ぎゅっと握った小さな手。
これから始まる暮らしのこと
今回の敷地は近隣が近い住宅地。
東西南北を住宅に囲まれた敷地です。
そのため、ふだんのくつろぐ場は2階へ。
1階には「何もない部屋」があるそんな家。
2階にLDKを配置したのは
眺望のためではありません。
日々の暮らしに欠かせない“陽の光”を
いかに取り入れるかが、出発点となりました。
LDKは暮らしの中心となる場所。
家族が長い時間を過ごすその空間を、
もっとも居心地よい場所へ。
南からの光をどう受け止め、どう室内に導くか。
開口部の計画に、パッシブハウスの考え方を取り入れながら、
目には見えない“心地よさ”を丁寧にデザインしていきました。
この空間には、家族が共に過ごし、
暮らしが日々重なっていく柔らかさがあります。
「何もない部屋」
1階に設けた「何もない部屋」は、
家具を置かず、決められた使い方もありません。
自然をながめてぼーっとしたり、
ひとりで座って深呼吸をしたり、
時には作業場や来客スペースにも。
そんな時間のための、静けさの間です。
ここは、畳敷きの小さな空間で、
何も置かず、決められた使い方もありません。
けれども、北からのやわらかく安定した光が
1日中差し込むその空間は、光の“たまり場”となり、
そっと心を休ませてくれます。
現代の暮らしは、どうしても
予定や物に囲まれがちだと感じています。
けれど、意図的に
「何もしない」空間があることで
気持ちが整い、日々が少しだけ穏やかになる。
そんなふうに、“何もない”ことが、
“ある”ことにつながっていく。
そんな空間をつくります。
「ひとまの家」という名前には、
「ひとつの間」「ひとときの間」「ひとりの間」
ひとつの空間や時間が、心の深呼吸に
つながっていくことへの想いを込めました。
暮らしは、たくさんの瞬間の連なりですが
この家が、その一瞬一瞬に寄り添い、
ひとりの時間も、みんなの時間も、
どちらも大切にできる「間(ま)」として育っていくように。
あらためて、地鎮祭を終えて
家が完成するのは、冬を迎える頃になります。
地鎮祭という節目を迎えた今、この土地に
ご家族の暮らしが根づくことを想いながら
詳細図面を引いています。
どんな想いでこの場所に立ち、
どんな時間を過ごしていきたいか。
その小さな想像のひとつひとつが、
やがてこの家を形づくる大切な骨組みとなっていきます。
これから始まる工事のなかでも、
たくさんの対話を重ねながら、心の通った
家づくりを目指していきたいと思います。
またこのブログでも、
進捗や現場での出来事などをご紹介していきますので
ぜひ見守っていただけたら嬉しいです。
おわりに
地鎮祭を終えると、
いよいよ工事が本格的にスタートします。
家づくりは、一瞬のイベントではなく、
季節と共にある長い時間のなかで育まれていくもの。
その始まりをこうして迎えられたことに、
深い感謝の気持ちでいっぱいです。
工事の様子も少しずつお届けしていきますので
ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。
たくさん遊んでくれてありがとう。
良い家になるよう、みんなでがんばるね。
渡邊
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