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2026/06/28
西宮市「ぼたもちの家」雨の季節到来
家とともに、季節を重ねる
こんにちは。渡邊です。
自宅「ぼたもちの家」は早いもので
間もなく引越しから丸二年が経ちます。
家づくりを仕事にしていると
打合せ中のお施主様から
「実際住んでみてどうですか?」と
お尋ねいただくことがよくあります。
暑さ寒さのこと、草屋根の管理
虫は多いかどうか、川は怖くないかなど。
暮らしてみて体感したことは
「百聞は一見に如かず」そのもの。
感覚による部分はそれぞれの方によって違うので
一概にはお答えできませんが、想像より遥かに快適です。
自然は時には脅威ですが、これも2年のうちに感覚が変わってきました。
私自身の「季節の感じ方」が、少しずつ変わってきたように思っています。
雨が降るたび、草屋根は生き生きとする
今年も梅雨がやってきました。
天気予報には雨マークが並び、湿度は高く、洗濯物は乾きにくい。
一般的には少し憂鬱な季節かもしれません。
それでも私は、この家に住んでから
梅雨や雨を楽しみに感じるようになりました。
緑が一年でいちばん美しくなる季節だからです。
春の若葉のような軽やかな緑ではありません。
夏の日差しを受けた力強い緑とも違います。
梅雨の緑は、水をたっぷり含み
艶があり、どこか瑞々しい。
雨が降るたびに色が濃くなり、
なんだか嬉しそうにも見えるのです。
設計した当時は
「草屋根が景色に馴染めばいいな」と考えていましたが
今は景色というより、共存しているような感覚です。
川のそばで暮らすということ
家の前には川があります。
最初の梅雨や台風は、少し落ち着きませんでした。
夜中に雨音が強くなるたび
何度も障子を覗いて川を見ました。
スマートフォンで雨雲レーダーを開き
水位情報を確認し、どきどきした夜もあります。
自然の近くで暮らすことに憧れて建てた家でしたが
その自然の力を前にすると、やはり緊張はありました。
二年経った今でも、大雨が降ればもちろん気になります。
警報が出れば川を見ますし、避難情報にも気を配ります。
でも、以前とは少し違います。
「あ、この雨なら大丈夫。」
「今日は流れが速いけど溢れることは無さそう。」
「濁りが出てきたから、近づかないでおこう。」
川にも日々の表情があることを、少しずつ知りました。
毎日眺めているからこそ、小さな変化が分かるようになります。
慣れというより、自然との距離が少し縮まったのかもしれません。
娘が教えてくれる、小さな季節の変化
二年前、娘はまだ生後2か月でした。
草屋根のことも、川のことも分からず
抱っこで景色を眺めていました。
今では自分で窓の外を見て
「かわ、はやいねえ」と教えてくれます。
雨が降ると
「あめ、ざーざー」
外にでると
なんともいい顔をして葉についた水滴を見ています。
大人にとって雨は、「今日は外で遊べない日」。
でも娘にとっては、「葉っぱが光る日」。
カエルが鳴く日。
川の音が大きくなる日。
長靴を履ける日。
お気に入りの傘や
レインコートを着せてもらえる日。
娘は、自然を好きになる理由を探しません。
そこにあるものを、そのまま面白がっています。
そんな姿を見ていると、私まで立ち止まります。
忙しい朝でも、窓の外を眺める時間が少し増えました。
頭で考えずに、好奇心でまっすぐ物事を見るのは
少しうらやましいというか、無くしかけていた感覚だなと思います。
自然にまぎれる家、自然になじむ暮らし
この家を設計するとき、
「自然の中に建つ家」ではなく
「自然にまぎれる家」を目指しました。
建物はできるだけ高さを抑え、森や川になじませる。
草屋根を載せ、建築が風景の一部になるように。
そんなことを考えながら設計しました。
でも二年暮らして思うのは
建物が自然に溶け込むというのも大切ですが
そこで暮らす私たち家族も溶け込んで
自然のリズムになじんでいくことの大切さ。
雨の日を受け入れ、風を感じ、季節の変化を楽しむ。
その時間が積み重なっていくのが心地いい日々です。
家は、暮らして完成していく
設計という仕事には「完成」があります。
打合せをし、図面を描き、着工。
工事を監理し、お引渡しを迎える。
そこが一区切りです。
でも、住まいには完成がありません。
春を迎え、夏を迎え、秋になり、冬を越える。
繰り返しの中で、暮らし方や景色の見え方が変わり
家との距離も少しずつ変わっていきます。
二年住んだからこそ分かること。
五年住めば、また違うことが見えてくるのでしょう。
十年後には、草屋根はもっと風景になじみ
娘は友達と川辺を歩いているかもしれません。
木々も少し大きくなり
この家も今とは違う表情を見せてくれるはずです。
良いことも悪いこともきっとあるでしょう。
木の色合いが少しずつ深まり、
庭が育ち、家族の思い出が積み重なっていく。
その変化は図面では描けず
写真や動画でも伝えきれません。
だからこそ、お引渡しから二年経った我が家の近況も
これからも大切に伝えていきたいと思っています。
「住み続けて、どう変わっていくのか。」
それは、設計者としても、住まい手としても
面白さを感じていることだからです。
三度目の夏を迎える
雨の日が続くと
風景の緑は日に日に濃くなっていきます。
もう少しすれば、梅雨が明け、セミが鳴き始め
川には地域の子どもたちがやってきます。
川からあがって暑そうに自宅へ帰る子供たちを見かけて
「縁側でお茶でも飲んでいく?」と声をかけてみたいものの
時代が時代なので、躊躇してしまった昨年の夏。
三度目の夏。
2歳になった娘が何を発見してくれるのか
私には無い視点を、とても楽しみにしています。
YouTubeでは竣工したときの姿を、
instagramでは日常を綴っていますので
よろしければぜひご覧ください。
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渡邊
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