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西宮市「ぼたもちの家」二度目の冬

西宮市「ぼたもちの家」二度目の冬

西宮市の山あいに建つ、私たちの自宅「ぼたもちの家」。
気がつけば、この家で迎える冬も二度目になりました。

日々の暮らしの断片は、
個人のInstagramアカウント(@ch_watanabe)でも時折お伝えしていますが
今回はあらためて「住まいとしての冬の過ごし方」を
設計者の視点も交えながら綴ってみたいと思います。
https://www.instagram.com/ch_watanabe/

(自宅付近の山々や畑)

自然の中で、自然と暮らすということ

ぼたもちの家は、川と山に近い
自然に囲まれた場所にあります。

窓の外に広がる景色は、
意図してつくり込んだものではなく、
もともとそこにあった環境そのものです。

朝は鳥の声で目が覚め、
日中は川のせせらぎが聞こえる。

こうした環境の中で暮らしていると
「自然を取り入れる」というよりも、
「自然の変化とともに生活している」という
感覚の方が近いように思います。

こどもの目から見る自然は
どんな風にうつるのだろうと
時折素直な視点が羨ましくなります。

一般論として、
自然光や風、音、季節の移ろいといった
環境刺激に日常的に触れることは、
子どもの感覚統合や情緒の安定に
良い影響を与えると言われています。

人工的に均一化された環境よりも
変化のある環境の方が、感覚を使い分ける機会が増えるためです。

もちろん、すべてを自然任せにすればよいわけではありませんが
外の気配を感じられること、季節によって光や温度が変わることは
暮らしにリズムを与えてくれます。

そうした積み重ねが、
感性の土台を形づくっていくのではないかと
日々の生活の中で感じています。

段差のある家と、身体感覚

わが家は、平屋でありながら
室内にいくつもの段差があります。
床の素材や高さが場所ごとに少しずつ違い、
畳、カーペット、三和土が連続する構成です。

一般的には「段差=危険」と捉えられがちですが
住宅設計の視点から見ると、適切に把握できる段差や床の変化は
空間認識や身体感覚を育む要素にもなり得ます。

特に幼少期は、平坦で均質な環境よりも、
凹凸や素材の違いがある空間の方が自然と
身体を使いながら環境を理解する機会が増えると言われています。

わが家は段差を完全になくすのではなく
「意識できる段差」として残しました。

境界が曖昧な危険な段差ではなく、
視覚的にも身体的にも認識しやすい高さ・位置とすることで
日常動作の中で自然と注意力やバランス感覚が働くよう意図しています。

その家で育つ娘は、現在一歳八か月ですが、
保育園で「身体の使い方が上手ですね」と
声をかけていただくことがあります。

専門的な発達教育は何もしていないのですが
住まいという環境そのものが、日々の動作を通じて
身体感覚を育てる一助になっているのではないかと感じています。


ご覧になった方もあるかもしれません、
住人十色の取材時にはぴょんと飛び越えていた通り土間。
ここについに渡り廊下となる式台を設置しました。

寝ぼけ眼で起きてきた娘は嬉しそうに
早速てくてくと渡り廊下を渡ったのでした。

冬の暮らしと、暖房の考え方

さて、冬の暮らしについてです。

わが家では、夜、娘をお風呂に入れたあと
寝る前の2時間ほどだけ暖房を使用しています。

その後は暖房を切って就寝しますが
翌朝の室温はおおよそ16度前後を保っています。
数値だけを見ると決して高い温度ではありませんが
急激な寒さを感じることはほとんどありません。

これは単に
断熱性能の数値が高いから、という話ではありません。
・日中にどれだけ日射を室内に取り込めているか
・床や壁、天井がどれだけ熱を蓄えられる構成になっているか
・室内外の温度差が緩やかに推移するか といった要素が
重なった結果だと考えています。

住宅の温熱環境は、設定温度そのものよりも
「温度変化の小ささ」が快適性に大きく影響します。
短時間の暖房であっても、建物全体が冷えきらない状態を保てていれば
暮らしとして無理のない暖房計画が成立します。

一日中暖房をつけ続けるのではなく
「必要な時間に、必要な量だけ使う」ことができるかどうか。
その点も、住まいの性能を考えるうえで大切な視点だと感じています。

冬は低い陽がしっかり差し込みます。

「寒くない家」ではなく「無理のない家」

家づくりの打合せをしていると
「とにかく寒くない家にしたい」という声をよく聞きます。
もちろん、そのお気持ちはとてもよく分かります。

ただ、「寒さを感じない」ことだけを目的にすると
設備に頼りすぎたり、過剰な仕様になってしまうこともあります。

私たちが目指しているのは、
「多少寒い日はあるけれど、暮らしとして無理がない家」。
厚着をすればよい日もあれば、陽だまりで過ごせば十分な日もある。
そうした選択肢が自然に生まれる住まいです。

やわらかいが故に空気を含む杉の床や
土間が蓄熱してくれることも影響しています。

二度目の冬を迎えて思うこと

二度目の冬を迎え、あらためて感じるのは、
家は完成した瞬間がゴールではない、ということです。

暮らしながら、季節を重ねながら、
「この家はこう使うと心地いい」という感覚が
少しずつ自分たちの中に蓄積されていく。

ぼたもちの家は、
派手な性能や設備があるわけではありませんが
自然の力を借りながら、家族に寄り添ってくれる住まいだと感じています。

これから家づくりを考えられる方にとって
「どんな性能が必要か」だけでなく、
「どんな時間を、どんな環境で過ごしたいか」を
考えるきっかけになれば幸いです。

それでは、皆さま
本年もありがとうございました。
よい年をお迎えください。


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渡邊

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