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川西市「里山の家」ができるまで

― 里山の家 ―

こんにちは。渡邊です。
まもなく、「里山の家」が完成見学会を迎えます。

完成した住まいをご紹介することは多いのですが、
今回はこの家ができるまでの日々を
振り返ってみたいと思います。

家づくりは、完成した日に始まるものではありません。
土地と出会い、ご家族と何度もお話を重ね、
手書きのプランが少しずつ色づき形になっていく。
その時間もまた、その家の大切な一部です。

地鎮祭、上棟、現場での出来事、ご家族との思い出。
完成見学会を前に、約半年間の家づくりをご紹介します。


この土地が教えてくれたこと

敷地は、新しく造成された住宅地の一番端にあります。
整然と並ぶ住宅の先には田畑が広がり、
その向こうには穏やかな山並みが続いています。

初めてこの土地に立ったとき、
私たちの視線は自然とその景色へ向かいました。

住宅地という環境でありながら、
その先には昔から変わらない里山の風景があります。



春には若葉が芽吹き、夏には深い緑が広がり、
秋には田んぼが色づき、冬には澄んだ空気の中で
山の輪郭がくっきりと浮かび上がる。

この景色は、毎日眺めても
飽きることのない、この土地だけの魅力です。
だからこの家では住宅街へ向かって開くのではなく
里山の景色を暮らしの中へ取り込むことを考えました。

窓は、ただ光や風を
採り入れるためだけのものではありません。
景色や暮らしもつくるもの。

朝、カーテンを開けたとき。
食卓を囲む時間。
ソファでくつろぐ夕暮れ。

日常の何気ない時間の中で
ふと目に入るのが住宅街ではなく、
田畑や山並みであったなら。

きっと、この家での暮らしは
より豊かなものになるのではないか。
そんな想いを、ご家族とも共有しながら
プランをまとめていきました。


図面が家になる日

打合せを終え、地鎮祭を迎えた日。
まだ何もない土地に祭壇が設けられ、
ご家族とともに工事の安全を祈願します。

図面の中にしかなかった住まいが
いよいよ現実のものとして動き始める瞬間。
寒い12月でしたが、お天気に恵まれたよい式でした。


そして迎えた上棟の日。
朝には基礎だけだった場所に柱が立ち
夕方には家の輪郭が見えるようになります。
何度立ち会っても、この一日は特別です。

図面では何度も見てきた窓の位置。
その窓から、本当に田畑や山並みが見える。
その景色を現場で初めて確かめられる瞬間でもあります。

ここから先は、大工さんをはじめ
多くの職人さんたちの手によって
住まいは少しずつ完成へ向かっていきます。

一つひとつ丁寧に積み重ねられる仕事を見ながら
「この家ができるまで」の時間もまた
大切な家づくりなのだと改めて感じました。


(上棟式も楽しかったですね)


「もう一回行きたい」が教えてくれたこと

石田が設計担当で打合せを進める中で、
私の中にずっと残っていた出来事があります。

1月の雪が積もった日、
丹波篠山市「大きな木の下の平屋」の
完成見学会へお越しくださいました。

予約時間が終了になり、お帰りになられたのですが
午後の空き時間にもう一度訪れてくださりました。
何かあったのかと尋ねてみると、お子さんたちが
「もう一回あそこへ行きたい」と言ったそうです。

その場所は、
小さな絨毯敷きの本棚スペース。

本を読んだり、寝転んだり。
子どもたちが思い思いに過ごせる、小さな居場所。


一度会場を出て昼食をとられたあと、
どうしてもという子供たちの気持ちを汲んで
再び会場へ戻って来られ、予約が空いていたので
お子さんたちはもう一度その場所で過ごしていました。

それはそれはもう
とても吸引力のある本棚スペースで笑
出てきては戻り、出てきては戻り。
その姿が、とても印象に残っています。

家づくりをしていると、
大人はどうしても収納や動線
性能や広さといったことに目が向きます。

もちろん、それらはとても大切です。

でも子どもたちは
「ここが好き」という場所を
もっと素直に見つけてくれます。

実は今回の設計では、
一度は計画に出たものの
諸事情あり計画から外していたのでした。

しかしこの日の様子をみたご夫婦から
「あの場所、やっぱりつくりたいです。」とお話があり
もう一度プランへ迎え入れることになりました。

設計とは、新しいものを
生み出すことだけではありません。

ご家族が心地よいと感じた記憶を
住まいへ取り入れることでもあるのだと思います。
そして、お子さんたちがお気に入りだった場所が
今度は自分たちの家の中にできる。

そんな暮らしを想像すると
私も完成がますます楽しみになりました。

▽丹波篠山市「大きな木の下の平屋」施工事例
https://www.ch-wood.co.jp/case/tanbasasayama_hiraya


「おかえりなさい」と思えた日

工事が始まると、
お打合せの回数は少しずつ減っていきます。

毎月のようにお会いしていたご家族とも
現場でお会いしたり、メールやお電話で
ご連絡を取り合ったりすることが中心になります。

そんなある日、ご家族そろって
モデルハウスへお越しくださいました。
ソファの生地を選ぶためです。

久しぶりに皆さんのお顔を見たとき
ふと「おかえりなさい」という気持ちになりました。

家づくりのお打合せは
住まいについて話す時間ではありますが
それだけではありません。

お子さんのお話を聞いたり
季節の話をしたり、
家づくりとは関係のない話で笑ったり。

そんな時間を積み重ねるうちに
ご家族との距離も少しずつ近づいていきます。

生地のサンプルを一枚ずつ広げながら
「これもいいね」「こっちの方が好きかな」と
ご家族皆さんで相談される様子をみて

モデルハウスからつながる暮らしと
こどもたちも皆でわくわくされている様子に
すっかりこちらも温かい気持ちになったのでした。


少しずつ、この場所の景色になる

工事は順調に進み、
外壁が仕上がり、足場が外れ、
外構工事も終盤を迎えています。

現場へ足を運ぶたびに、
この家は少しずつ周囲の景色に馴染んできました。
完成したばかりの建物は、新しさが際立ちます。

けれど時間が経つにつれ
植栽が育ち、木の色合いが深まり、
周りの風景とゆっくり調和していきます。

この家もきっと、そうなっていくのでしょう。

窓の向こうでは、季節が巡ります。
春には新緑が芽吹き、田んぼには水が張られます。

夏には深い緑と青空が広がり、
秋には黄金色に実った稲穂が風に揺れ、
冬には澄んだ空気の中で遠くの山並みが
くっきりと姿を見せることでしょう。

家は完成して終わるものではありません。
暮らしが始まり、その土地の時間とともに歩み始めて
少しずつその家らしく育っていくものだと思います。


「完成」は暮らしのはじまり

完成見学会は、
私たちにとって一つの節目です。

これまで打合せを重ね
職人さんたちが丁寧に仕事を積み重ね
ご家族と一緒につくり上げてきた住まいを
多くの方に見ていただける機会でもあります。

けれど、本当の意味での完成は
完成見学会の日ではないと思っています。

家具が運び込まれ、ソファが置かれ
本棚には少しずつ本が増えていく。

朝ごはんの香りが漂い
お子さんたちの笑い声が響き
何気ない毎日が積み重なっていく。

以前「もう一回行きたい」と
言っていた本棚スペースも、
今度は毎日の居場所になります。

今日読んだ絵本も
明日学校から持ち帰る本も
その場所に並んでいくのでしょう。

設計をしていると
「完成」という言葉をよく使います。

でも、本当に完成するのは、
ご家族がこの家で暮らし始めてからなのだと
私は思っています。

暮らしが重なり、季節が巡り、
ご家族だけの思い出が増えていく。

その時間もぜんぶぜんぶ、
「この家ができるまで。」なのだと思います。


お施主様に建物をお借りし
完成見学会を開催します。

2026年8月8日(土)9日(日)
完成見学会 川西市「里山の家」
各線梅田駅より約50分で到着します。
https://www.ch-wood.co.jp/event/completion/kinoie_kawanishi_kengakukai?post_id=24277

ぜひ現地で、この住まいがどのような想いから生まれたのか
そしてどのような暮らしを描いているのかを
感じていただければ嬉しく思います。

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渡邊

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