写真とオーナー様からのメッセージで見る「木の住まい」施工事例をご覧ください。

兵庫県産材で建てた杉の家

オーナーズメッセージ

どこに、住むのか?

今考えれば悩むべくもないことに、家づくりをしようと思い立った当初はよくぶつかりました。その第一が土地でした。自分たちがどこに住みたいのかもわからないまま、ある時は広さ、ある時は交通の便、あるときは値段に振り回され、東西南北を右往左往。最寄り駅から乗り込んだバスが山道を登っていくさまに「これが現実…」と自分を納得させようとしたり、ひっきりなしに通る電車の音に耳を押さえながら、不動産屋さんの説明がまるで聞こえなかったり…。不便でも広い土地を求めるのか、狭くても便利な場所を選ぶのか。まさに迷走。今から5年前のこと。結論はなかなか出ませんでした。


ローン申請、落ちる。

土地も施工会社も決まりかけたのは、4年前。実は家を建てる理由は、結婚でした。男として、家を建てる準備があるということを示して、それなら安心して嫁に出そうと言わせたかったんです。でも、その頃の僕たちは住宅はおろか、結婚準備すらままならないほどに忙しく、徹夜で現場見学に出かけたり、土地も夜中にしか見に行けなかったり。何かに追い立てられるように進めながら、どこか他人事のような感覚でした。でも、ストップがかかりました。ローンが通らなかったんです。パスしてたら、あのまま建てていたでしょう。落ちて本当によかったと今は思いますが、当時はとてもショックでした。


すべてが、白紙に

僕たちの住宅熱は、一気に冷めてしまいました。でも、正直ホッとしました。なぜなら、僕の職業は設備業で、建築では作り手の立場。だから、現場を見ればわかる。ちゃんと作っているのか、そうじゃないのか。大事に作られているのか、その逆か。こんなレベルかと思った現場もありましたから、白紙に戻ってよかったじゃないか、と思いました。それからは、住宅のことは考えない月日が2年ほど続きます。でも、この空白期間も必要だったのかもしれません。この間にいろんな経験や勉強をしたことが、僕たちが大切にするものは何なのかを重ね合わせて行く、基礎の基礎をつくったような気がします。


散歩に、行こう。

5月の休日。青空に誘われて散歩に出かけました。たっぷり6時間、三宮から西宮まで住宅街を歩きました。そして道々見る家を、やれ趣味に合うだの合わないだのと話すことが、自分たちが建てたい家は何なのかを確かめ合う作業になりました。モデルハウスでもなく、用意された現場でもなく、洗濯物が干されたベランダや、自転車が止められた庭を見ることが、重要だった気がするのです。4年前の苦い経験を振り返りながら、妻は、実はあの家は好きじゃなかったと言いました。同感だと僕は答えました。一緒に家を見て、好きな家の話をする。互いの価値観を確かめ合う、きっかけとなった散歩でした。


国産は、不可能か?

妻の父は、製材機械メーカーに勤める「木」に関しては一家言ある人。以前から「国産無垢材」での建築について助言はもらっていましたが、工務店に聞いても、無垢は仕事が難しい…木が暴れたり床がめくれたりして大変だ、予算も上がるし、やめたほうがいい、という話ばかり。妻はそのころ、「県産木材利用木造住宅特別融資制度」という低金利の融資制度のことを調べており、高額予算の苦言には、この「制度」で対抗しました。しかし、彼らの反応は芳しくなく、中には「知らない」という人も。土地は見つかったものの、無垢の木で家を建てるなんて、やっぱり無理なんだろうかと、途方に暮れていました。


木の香の、パンフレット。

僕らにはすでに理想の家像がありましたが、問題は、話の合う建築家がいないこと、僕らの思う家の話をしても、プロである彼らの目がちっとも輝かないことでした。そんなとき、「近くに工務店あったかな」と住宅雑誌見ていてシーエッチ建築工房さんを見つけました。掲載情報を見ていい印象を持ち、さっそく工房へ。僕自身は、濱畑社長とじっくり話をし、大いに納得しましたが、妻はどう思うだろうか・・・。しかし、杞憂に終わりました。なぜなら、僕がシーエッチさんから持ち帰ったパンフレットを渡すと、そこから立ち上る木の香り大きく吸って、「木のいい香りがする!」と目を輝かせていたからです。


価値観が、一緒。

妻は濱畑さんと話をして、「やっと話が通じる人に出会えた」と思ったそうです。高野槙のお風呂にしたい、構造材は無垢材をきちんと乾燥させて使いたい、地産地消と優遇制度のために、県産木材で建てたい、すべて理解してくれました。そして、間取りや予算の前に、僕たちの生活スタイルや同居する母のこと、アレルギーなど体質に関することなど、プランづくりとは直接関係のない話に終始しました。僕たちが建てたいと思う家を必死に伝えて建ててもらうのではなく、同じ価値観、同じ哲学の人たちと、一緒に家を建てる…これだな、と思いました。あの人と一緒に建てたいね、そう話しながらの帰り道でした。


楽しんで、つくる。

現場監督は落合君、営業は北田さんで建築が開始。進むうちに、2人がこの建築をとても楽しんでいることが伝わってきました。これだけ楽しそうにつくってる家なら、きっと家も楽しいものになる、そう思いました。さらに得がたい経験は、自分も建築の一部を担っているということ。仕事の後に現場へ向かい、左官屋さんと一緒に壁塗り。身体はしんどいですが、まさに自分でつくった家。予算調整でもう削るものは何もないというときに、「ご主人、壁…自分で塗る?」と、言ってくれた濱畑さんに感謝しています。予算削減だけではなく、きっと僕の性質を見抜いての提案だったでしょうから。


家は、哲学。

さて、いよいよ家は完成します。もちろん、予算さえあればもっと…という思いは尽きません。しかし、こうして家を眺めていると、これこそ僕たちにとってパーフェクトだと思えるのです。5年前、何も決められなかった僕たちが、こうして理想の家を建てることができている。どんな家を建てたいのかを考えて、考えて、考え抜いたことで、自分の大事にしているものが見えてきたように思います。そしてそれは、夫婦が価値観を重ね合わせて行く作業だったようにも思います。シーエッチさんと一緒に家を建てたおかげで、今、それぞれが大事にしていることを、自分のそれと同じように、大事にできている気がするのです。

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